人権の尊重とDE&Iの推進

テクノプロ・グループでは2021年10月に「国連グローバル・コンパクト」の署名企業となり、日本のローカルネットワークである「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」にも加入しました。
人権の尊重は普遍的な価値であり、当社グループの企業理念である「テクノプロ・グループ・パーパス」の実践と一致するとの考えに基づき、人権尊重の取組みをグループ全体で推進し、その責務を果たす指針として、「テクノプロ・グループ 人権方針」を定めています。

テクノプロ・グループ人権方針

1. 人権に対する基本的な考え方

  • 全ての人間の尊厳と権利を尊重することを基本姿勢として、当社グループの事業活動において、あらゆる人権侵害に直接的に関与しないだけでなく、間接的にも加担しないよう努めます。

2. 規範の尊重

  • 国内外の関係法令をはじめとする社会的ルールを遵守し、社会的規範に基づき公正・誠実な事業活動を行います。
  • 国連の「国際人権章典」(「世界人権宣言」、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」)、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」、及び国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」等の人権に関わる国際規範を支持・尊重します。さらに、「国連グローバル・コンパクト」署名企業として、係る原則を遵守します。
  • 国際的に認められた人権規範と各国・各地域の法令等が異なる場合には、より高い基準に従い、相反する場合には、国際的な人権規範を尊重するための方法を追求します。

3. 人権重要分野

  • 「テクノプロ・グループ企業行動規範」及び「国連グローバル・コンパクト」の人権に関する項目・内容等も踏まえ、特に人権に与える影響の大きい分野(人権重要分野)を定めたうえで、人権リスクの低減に取り組みます。
  • これらの人権重要分野については、国際規範・社会状況・事業活動の変化等に応じ、見直しを行うことがあります。

[人権重要分野]

(1)差別の禁止

  • 国籍、人種、年齢、出身、職業、性別、性的指向・性自認、思想、信条、宗教、障害、社会的地位又は門地等の属性を理由とした差別を禁止する。

(2)ハラスメントの禁止

  • 性別・地位等を背景とした一切のハラスメント行為、誹謗や中傷を禁止する。

(3)強制労働・児童労働の禁止

  • 強制労働、奴隷や人身売買を利用した労働、児童労働を禁止する。

(4)DEI(Diversity 多様性、Equity 公平/公正性、Inclusion 受容/包摂性)の実現

  • 属性に関わらず、公平かつ公正な雇用機会や配置、昇進その他の機会を提供する。
  • 属性、バックグラウンド、個性、人格、価値観等の多様性を尊重し受け入れ、個々の能力を存分に発揮できる企業文化・組織風土を醸成する。

(5)結社の自由及び団体交渉権の尊重

  • 従業員の自由な意思に基づいて労働組合を結成する権利、及び参加・不参加を選択する権利を尊重し、団体交渉権の行使を容認する。
  • 会社は、その代表者との建設的な対話を通じ、誠意をもって交渉にあたる。

(6)適正な賃金の支払及び労働時間の管理

  • 報酬(最低賃金、残業代、及び法的に義務付けられた手当や賃金控除を含む)に適用される法令を遵守するとともに、生活賃金の支払に配慮する。
  • 適用法令を遵守して適正に労働時間・休日を管理し、従業員のワーク・ライフ・バランスを実現する。

(7)従業員の安全・衛生・健康の確保

  • 従業員の心身の健康や安全に配慮した働きやすい職場環境づくりに取り組む。

(8)表現の自由とプライバシーの保護

  • コミュニケーション上の表現の自由とプライバシー保護について認識し、その侵害が無いよう注意を払う。
  • 個人情報は、関連する法令・社内規程を遵守のうえ、公正かつ適正に取り扱う。

4. 人権尊重に関する責務の実行

  • 人権に対する負の影響を特定、防止、軽減する取組みである人権デューデリジェンス等を通じ、人権に対する負の影響を引き起こした、または助長したことが明らかになった場合には、適切な救済・是正に努めます。
  • 内部通報制度の整備やハラスメント相談窓口の設置によって、人権への負の影響を与える行為について従業員から通報あるいは相談を受け付ける体制を構築し、適正に運用します。
  • 人権尊重の取組みの進捗状況及び結果についてホームページ等で開示を行ない、その内容についてステークホルダーと対話します。
  • 地域社会の人々の人権を尊重するため、積極的なコミュニケーションに努めます。
  • 役職員に対し、本方針の理解・定着、及び事業活動に組み込まれた効果的な実行を目的として、教育・啓発を実施します。
  • 本方針に基づく人権尊重に関する取組みは、当社グループの全ての役職員に適用するのみならず、顧客・取引先・ビジネスパートナー等のサプライチェーンをはじめとする全てのステークホルダーに対しても理解・協力を求め、人権が尊重・擁護される社会の実現の貢献に努めます。

2021年10月29日制定

ガバナンス体制

人権尊重に係る課題は、代表取締役社長兼CEOを委員長とするサステナビリティ委員会で審議され、審議内容については定期的に取締役会に報告されます。具体的な取組みは、健康経営やダイバーシティ推進課題とともに人事部が管掌しています。
サステナビリティ推進体制図

具体的な取組み

差別やハラスメント

就業規則にハラスメント禁止の旨の明記、法令やグループとしてのポリシーの周知、研修を通じた啓蒙を実施するとともに、日頃から相談しやすい環境を整備するなど働きやすい職場づくりを行っています。事案が発生した場合には、専門部署が調査を行い適切な対処を講じることとしています。

■ハラスメント相談窓口
従業員が利用しやすいよう、社外と社内の両方に、ハラスメントに関する窓口を設置しています。社内の窓口は、ハラスメント防止コンサルタント、シニア産業カウンセラー、心理相談員等の資格を持つ担当者で構成されています。これらの窓口では、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産、育児休業・介護休業等に関するハラスメント等、各種ハラスメントに関する相談を受け付けています。

■従業員への研修
従業員には職場のハラスメント防止について、役員・管理職従業員には職場ハラスメント対応、パワーハラスメント防止、セクシャル・ハラスメント防止について定期的な研修を実施しています。

■冊子の発行
「STOP!ハラスメントBOOK」という冊子を発行し、従業員への啓蒙に取り組んでいます。

障がい者とともに

■【特例子会社】
テクノプロ・ホールディングスの障がい特例子会社である株式会社テクノプロ・スマイルでは、さまざまな障がいを持つスタッフが、幅広い仕事に取り組んでいます。
近年はグループ内の業務支援のほか、データ入力・文書スキャニング・マイクロフィルム電子化などグループ外の業務を積極的に受託しています。

テクノプロ・スマイルは、テクノプロ・グループの社会的責任(CSR)を果たすうえで重要な役割を担っていますが、障がい者を雇用するだけではなく、働くスタッフが仕事を通して「真の自立」に向けて取り組んでいるのが特徴です。

民間企業の障がい者の法定雇用率は、2024年4月に2.5%、2026年7月には2.7%とまで段階的に引き上げられることが決定しており、多くの社員を直接雇用している人材サービス業では法定雇用率を充足することは容易なことではありません。テクノプロ・グループでは、テクノプロ・スマイルによるさまざまな取組みなどにより、法定雇用率以上の障がい者を雇用している実績※1があります。

※1:2018年~2023年におけるグループ連結実績(参考:ESGデータブック「障害者雇用率」

■働きがい向上の取り組み
テクノプロ・スマイルでは、スタッフの努力と成果を適切に評価し、それに基づいて昇給を行う人事制度を設けています。また、評価においては結果だけではなくプロセスも大切にしており、個人の特性に配慮した目標を設定する「目標管理制度」や日々の達成度合いを確認する「業務日報」などを取り入れています。さらに、特別な技能を持ったスタッフにはJobタイトルの称号を付与し、手当の支給や貢献度に応じた表彰などの仕組みも導入しています。これらの制度は、スタッフが目指すべき目標を明確にし、その達成に向けたモチベーションを向上させることを目的としています。作業指導員(「スマイルコーチ」)によるきめ細やかなサポートのもとで研修やスキルチェックを実施し、スタッフ一人ひとりが自身のスキルを磨き、成長を続けられる環境を整えています。

■社会的課題へのチャレンジ
国内の民間企業に雇用されている障がい者は20年連続で増加していますが、身体障がい者が56%、知的障がい者は24%、精神障がい者は20%(厚生労働省「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」より)であり、精神障がいの方の雇用は増加傾向にあるものの、まだ十分とはいえない状況です。多様な障がいの特性を理解した適切なサポートが求められることなどから、社会的に精神障がいの雇用がまだ低い水準にとどまる中、テクノプロ・スマイルでは、民間企業で雇用されている比率を大きく上回る精神障がいの方を雇用しており、職場のスマイルコーチだけでなく常設の部署である相談室がスタッフ本人や就労支援施設などの関係先に対してケアやフォローアップを図り、仕事を通した自立・成長が実現できる環境を整えています。

※2:厚生労働省「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」による

■働く環境
業務能力が高いものの、「長時間の通勤が難しい(通勤圏内の仕事がない)」「人の多い環境で働くことは苦手」といった個別の事情を有する障がい者の方々は少なくありません。テクノプロ・スマイルでは、業務適性を有する方に対して積極的に就業の場を設けており、2019年から在宅勤務での就業を可能とする「テレワークセンター」 を設置してリモート環境を整えています。また、近年は特別支援学校の卒業生受け入れにも力を入れており、国内各所の就労支援施設との連携強化に努めるとともに、働く環境の整備や業務開発に取り組んでいます。札幌、東京、横浜、福岡の各拠点のほか、北は北海道、南は沖縄に在住する在宅勤務者も含め、多数の障がい者のスタッフが全国で活躍しています。

テクノプロ・スマイルのウェブサイトへ

ジェンダー・国籍・世代を越えて

■女性の活躍推進

ジェンダーに起因する偏見や固定的な役割意識にとらわれず、一人ひとりのキャリアビジョンやライフプランを実現できるよう、個々の能力に基づく公正な登用・採用・評価を行っており、実際に女性のエンジニア・研究者がリーダーとして多数活躍しています。

■NPO法人Waffle主催 Waffle Campへ協賛

当社はSTEM領域における女性活躍を後押しするNPO法人Waffle主催のWaffle Campに協賛しています。Waffle Campへの協賛を通じ、女性活躍の機会や次世代理工系人材の裾野の拡大に取り組んでいます。

Waffle Campはウェブサイト制作講座、ITなどの分野で働く社会人によるキャリア講演を組み合わせたプログラムにより、女子中高生が「IT・理系への苦手意識をなくし、関心を高める」ことをめざしています。

女性従業員比率 ESGデータブック

■積極的な外国籍技術者雇用

海外理工系大学と提携とした学卒者採用をはじめとするグローバル採用に注力しており、国籍・文化・言語の違いに関わらず活躍できるよう、日本語講座や生活慣習・ビジネス慣行理解のための研修実施によるサポートの他、受入体制の整備を行っています。今後は、海外グループ会社との人材交流も積極的に行っていきます。

国内外国籍技術者数 ESGデータブック

■国内トップクラスの中途採用

開発手法の変化や社会の急速なデジタル化に伴い、技術者や研究者に求められるスキルも否応なく変化しています。
多種多様なプロジェクトと豊富な教育研修カリキュラムをもつテクノプロ・グループには、技術者や研究者のチャレンジする気持ちに応える体制が整っています。
コロナ禍による採用抑制を行った2021年6月期を除き、3,000人前後の中途採用を行っており、採用者に占める中途採用比率は70%を超える水準となっています。

採用者に占める中途採用比率 ESGデータブック

■シニア世代の活躍推進

日本国内においては健康寿命の伸長や法制度の充実により、定年年齢を超えて働くシニア世代が増加しています。エンジニアに関しては、技術の継承やキャリア相談役としての期待など、シニア世代・熟練エンジニアへの企業側のニーズも高くなっています。
テクノプロ・グループは、本人のリタイアメントへの希望、能力や健康面での働き方の配慮も含め、シニア世代が安心して元気に活躍できるような就業サポート体制に取り組んでいます。

60歳以上雇用数 ESGデータブック
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